2006
「地獄少女」のDVDをツタヤで借りて見ました。
一巻から四巻まで借りられていたので、邪道ではありますが五巻と六巻を借りてみました(全編通しての大きなストーリーの流れはあるにしても、オムニバス形式だから大丈夫かな、と)。
このアニメはとにかくヒロインの地獄少女の静謐な美しさが印象的です。はっきりいってそれだけにそそられて借りてしまったわけですが。
で、感想。
イマイチでした。・・・ごめんなさい・・・・・・。
一巻からちゃんと見れば印象変わるのかしら???いや、私にはそうはあまり思えないのですが・・・。
えーと、よかったところ。
これはヒロイン閻魔あいの醸し出すえも言えぬ神秘的な美しさ、視覚的印象の強烈さに集約されるかと思います。
まずOP、EDともに出来がすごくいいです。
とにかく閻魔あいがものすごい綺麗!!!!!
静かな美しさ、妖艶な雰囲気、黒髪美少女の集大成ともいえてしまう、そんな存在感を放っています。
美術も美しく、OPのさくらんぼを口に含んだシーンやビー玉を転がすシーンはぞくぞくするほど日本的妖艶さが出ていますし、EDの切り絵風のイラストもすごく雰囲気が出てて良いです。
彼女の登場するシーンは本編でも印象的で絵もすごく綺麗。
「イッペン 死ンデミル?」のシーンも閻魔あいの魅力がここに凝縮しているといえるくらい恐ろしく美しいです。
とにかく閻魔あいに関連する部分はすごくいいんですよ。
つまりこのアニメ、閻魔あいに全身全霊を注ぎすぎて、または閻魔あいのキャラクターにだけよりかかりすぎて他が追いついてない感じがするんです。
ぶっちゃけシナリオがイマイチです。
地獄少女は、いわゆるこの世とは「異質の生をもつもの」が、毎回ゲストで登場する「人間」と「その人間の内面の問題」に触れる、という内容のものです。人の心の闇を垣間見るという点は「スカイハイ」や「笑うせえるすまん」「ペットショップ・オブ・ホラーズ」がこのジャンルに入るかな。アニメ版のブギーポップもこれに近いか。
こういう場合って、そのゲストとなる人間の、闇に触れざるを得なかった理由に説得力を持たせないとストーリーに入りにくいし、闇に触れたときの物悲しさや切なさがそれによって盛り上がるかイマイチになるか変わってくると思います。
スカイハイなんかはそこが上手くて、「あー、そりゃ呪い殺したくなるよね」と思えたり「切ないけど相手を許すことにしたんだね」と思えたり、見る側の心にうまいゆさぶりをかけてきます。だからイズコの「おいきなさい」もいろんな意味を持って、いろんな感情を持って、深い意味をなすわけです。
笑うせえるすまんやペットショップ~については、喪黒やカウントDの言いつけを守らなかった人間の愚かさや脆弱さを丁寧に描くことで、見る側をぐんぐん引き込んでいきます。
地獄少女は、そういった「人の苦しみ」や脆弱さの描き方が粗いので、毎回登場人物の「相手を地獄に送りたいと思うほどの苦しみ」にイマイチ説得力を感じませんでした。よってストーリーにそこまでのめりこめず、こういった類の陰性の物語の醍醐味である、良い意味での後味の悪さや切なさを感じることがほとんどできませんでした。
あとコンセプトが中途半端な印象もうけました。
取り巻きの妖怪三匹が登場することによって、閻魔あいの神秘性は失われ、ゲゲゲの鬼太郎を連想します。
アニメの鬼太郎は子供をターゲットにしたエンタテイメント作品ですから、コミカルさや、教訓めいた要素、完全懲悪のわかりやすさなどを有していて、そこにはきちんと整合性が存在します。
しかし地獄少女はそういった類のエンタテイメント性を追求したというよりは、人の内面や闇を取り上げていく「陰性」の物語を目指して作られたものではないのでしょうか(これはあくまで私の印象でしかないのですが)。陰性の物語に不可思議な美少女、そこに妖怪三匹が登場することによって陰性の雰囲気にうまく馴染まず、違和感を覚えました。
いっそアニメ版のブギーポップのように(わたしはあまり好きではないけれど)とことん内省的にするか、願わくばOVA版の吸血姫美夕のような幻想的で耽美な世界観にすれば、閻魔あいの雰囲気とマッチしていてよかったのではないか、と思ったりもします。
というわけで評価は五つ星満点中、
☆☆(二つ星) です。
閻魔あいのビジュアルに星を捧ぐ、といったとこでしょうか。
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